模型制作の練習

コスモゼロへの道。

練習台44号(HG 1/72 アメインゴースト)

模型制作練習台44号、HG 1/72 アメインゴーストの制作過程のまとめ。制作開始は2023/6/10(土)、完了は2023/12/30(土)。

HG 1/72 アメインゴースト

 

 

【経緯】

アメイン〈ゴースト〉は「境界戦機」第1シーズンに登場するメカの一つで、AIの暴走によって見境なく人間を襲う黒い無人機という設定。シーズン中に一度外観が変わるが、本キットは登場時の姿を立体化したもの。私にとっては練習台33号のメイレスケンブおよび練習台34号のバンイップ・ブーメランに続く境界メカ3機目。

外装の大部分は黒。アニメ作品に登場するメカの黒は、本当に真っ黒だと姿が見づらいからか、大抵は紫がかっていたり青みがあったり暗い灰色だったりする。しかしAIが自分でメンテナンスしているなら、人間から視認しづらくするため本当に真っ黒にするんじゃないかと考えて、この練習台44号も真っ黒に塗ることにした。

 

【キットについて】

パーツには黒と赤の2色があり、ほとんどは黒い。付属のシールは左手の指の青い発光部分と掌の中央の赤い光輪を補う。

左手の指に肉抜き穴がある。

足の爪の裏側は埋めなくてもいいようにも見える(が埋めたい)。

両脚のスネの外装は左右分割のモナカ割りになっていて、前後に縦の合わせ目がある。

パーツの篏合は良好だが、スネの内側と外装が接続する逆関節ではパーツ同士がこすれるので、この逆関節を塗装後に動かすと内側パーツの塗膜が剥がれる恐れがありそう。

 

【練習課題】

練習台44号の練習課題は次の通り。

(1) 両脚のスネの逆関節において、塗装のクリアランスを確保する。
(2) 整面処理を頑張る。特に、左手の肉抜き穴と足の爪の裏を埋める。
(3) 黒塗料としてGSIクレオス水性ブラックサーフェイサー(以下、「黒サフ」)を使用する。

課題(1)については、左右分割されているスネの外装パーツ側の干渉部分を削るとともに、内側パーツの軸回りをほんの少し幅増しし、そのぶんだけ外装パーツを離した状態で接着することで、パーツ同士の干渉が起きないようにした(図の(4)~(7))。

なお、スネの外装パーツの合わせ目のうち、前後にある縦線は裏側からプラ板で塞ぎ、表から瞬間接着剤を流し込んで埋めた。後部にある台形状の合わせ目はデザインとして残した。

課題(2)について、肉抜き穴はプラ板等の欠片、瞬間接着剤、ラッカーパテなどで埋めた(図の(8)および(21)~(22))。その他、ゲート跡、ヒケ、パーティングラインなどを適宜処理した。必要に応じてサーフェイサーを塗り表面の状態を確認した。

課題(3)について、黒いパーツは主に黒サフで塗装した。最初のうちは、塗膜をなるだけ薄くしたいパーツは黒サフではなくタミヤの水性アクリル塗料の黒で塗っていた。しかし、黒サフで筆で塗っても塗膜の厚みは大したことはないことが判ってからは全て黒サフで塗った。

 

【その他】

いつものように塗装は全て筆塗り。筆跡が全くつかないというわけにはいかなかったが、それでも黒サフを塗るのが多少は上手くなったかしらん。顔の右頬あたりにあるチューブのような部分は水性アクリル塗料のグレイ(ニュートラルグレイだったかな)とフラットアルミで塗り分けた。

背部のジャミングユニットは開閉するようになっている。通常は隠れている内部の塗装なんかをAIが気に掛けるとは思えず、当該パーツをメタリックグレイで塗った。しかし、外に露出する部分までメタリックグレイにしてしまったことに完成後に気付いた。残念。まぁいいか。

頭部の内部パーツは水性アクリル塗料のメタリックグレイとクリヤーレッドを重ねてキャンディ(っぽい)塗装にした。

付属のシールは使用しなかった。青い発光部分はエナメル塗料のメタリックブルーで塗った。赤い光輪は頭部内部と同様にキャンディ(っぽい)塗装にした。

スミ入れのあとはトップコート半光沢で仕上げた。

 

【参考資料】

・「境界戦機」公式サイト: ゴースト, (2021).
・SSC: 『境界戦機』所属も正体も不明の謎のAMAIM ゴーストを鋭く作り上げる, ホビージャパンウェブ, (2021).

練習台42号(SD 三国創傑伝 甘寧クロスボーンガンダム)

模型制作練習台42号、SD 三国創傑伝 甘寧クロスボーンガンダム。制作開始は2023/04/01(土)、完了は2023/08/27(日)。

Gan Ning Crossbone Gundam

SD 三国創傑伝 甘寧クロスボーンガンダム

 

【経緯】

練習台15号 SDクロスシルエット クロスボーン・ガンダムX1および練習台40号 SDガンダム GジェネレーションF クロスボーン・ガンダムX2に続く、SDのクロスボーンの3機目。

この甘寧クロスボーンガンダムという機体は長谷川裕一の原作漫画には登場しないから、特にこだわりも感じなくてずっと買わずにいたが、Instagramで他の人の作例をいろいろ見ているうちに挑戦したくなって結局購入した。宅配便で受け取ったその日に制作を開始した。

 

【キットについて】

パーツ数は抑えられていて組み立てやすい。その代わりパーツ分割は色分けに沿っていない箇所も多い。また、後頭部に合わせ目があり、あちこちに肉抜きがある。

黄色と赤のクリアパーツがある。黄色のランナーはクリアとそうでないものの両方があるが、赤のランナーはクリアのみで、赤のパーツは全てそのランナーにまとめられている。

ツインアイと色分けを補うためのシールもあるが、素組みにこのシールを貼っても箱絵や塗装例のような色分けには到底足りず、塗り分けを要する箇所が多い。

ただでさえ関節が少ないSDであるうえに装飾がごてごてしているせいで四肢の可動には制約が厳しい。

 

【練習課題】

練習台42号の練習課題は次の通り。

(1) セリアのアクリル絵具で塗装する。下地にはダイソーのプライマーを使用する。ただし、一部のクリアパーツを除く。

(2) 金色の絵具を使用せず、光沢を塗装で表現する「ノンメタリックメタル塗装」を試す。

(3) シールは使わない。ツインアイは薄いプラ板で作る。

なお、ツインアイを例外として、合わせ目や肉抜きを含む形状の修正は行わなかった。

*

課題(1)について。練習台40号に続きセリアのアクリル絵具を使用した。ネットで見る作例では、隠ぺい力の高さからかアクリル絵具よりもアクリルガッシュを使うことのほうが多いようだが、塗膜の強さで比較すると絵具のほうがいくらか優れている。このことは事前の実験でも確かめていた。

下地には練習台40号ではGSIクレオスの水性サーフェイサーを使用したのに対し、この練習台42号ではダイソーのプライマーを使用した。事前の実験ではダイソーのプライマーを使った塗膜のほうが強かった。

実際にアクリル絵具で塗ると、塗り分けの際にはみ出した絵具はすぐに水を含む筆で拭うだけで除去することができた一方で、隠ぺい力が低いために何度も重ね塗りしなくては十分に発色せず、特に塗り分けの境界線はぼやけがちになった。もし塗装前に境界線をケガいて塗装後にスミ入れしていたら改善できたのでは。

また、塗装後にエナメル塗料でスミ入れして余分を溶剤で拭き取ると、ところどころ塗膜が剥げることがあったが、練習台40号のときほどではなかった。アクリル絵具の他の特徴については練習台40号の記事に記載。

なお、一部のクリアパーツはタミヤの水性アクリル塗料で塗装した。具体的には胸のエンブレムと背部の炎状のスラスターがこれにあたる。その理由は、部分塗装でクリア部分を残す場合に、塗装箇所にのみキレイに透明のプライマーを塗布するのが難しそうだったから。

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課題(2)については、ノンメタリックメタル(NMM)塗装を我流でやってみたが正直しくじった。黄色にする箇所にはまず黄色と白の混色を塗り、次にハイライトや影を入れてみたが、仕上がりを見るとぜんぜん金色の光沢には見えない。

今回の作業の最大の障害は、塗り分けに手間がかかることとNMM塗装が難しいことだった。途中で嫌になって放り出していた期間も結構長かった。作業期間がほぼ5か月にまで及んだ理由はそれ。

この挑戦の唯一の功徳は、あまり使いみちの無さそうな金色のアクリル絵具を買わずに済んだこと。

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課題(3)について、練習台40号と同様の作業であり特に困難は無かった。横方向のグラデーションを施した塗装もうまくいったと思う。ただし、完成品ではそもそもツインアイは見えづらく、グラデーションがあることもほとんど判らない。残念。

 

【その他】

説明書の絵や塗装例に従うなら肘関節の内側を灰色に塗装しなくてはならなかったが、見落として塗り損ねた。トップコートを吹いて最終組み立てをして写真まで撮ったあとに気付いた。目立つところでもないからこのまま。

彩色の主な塗料としてアクリル絵具を使用するのは今回までにしようっと。ただ、成形色仕上げの場合にアクリル絵具あるいはアクリルガッシュでスミ入れすることには挑戦してみたい。

タミヤの水性アクリル塗料のチタンシルバーを今回初めて使ってみた。フラットアルミやクロームシルバーよりも少し暗い銀色として使えるのではないかと思う。ただし、筆塗りではダマになりやすいかも。

以前、練習台11号のときにクロームシルバーを主体にして調色しようとしたことがあるが、それよりもこのチタンシルバーのほうが良さそう。

練習台43号(童友社 1/72 零戦五二丙型)

模型制作練習台43号、童友社の1/72スケール 零式艦上戦闘機五二丙型練習台41号に続く零戦52型丙の2機目。ただし大きさは倍。制作開始は2023/06/08(木)、完了は2023/07/29(土)。

童友社 1/72 零戦五二丙型

 

【経緯】

スケールモデルの練習としても練習台41号に続く2機目。41号で零戦52型丙の形状や大体の配色はすでに呑み込めているし、他の同スケールの零戦と比べて組み立てが簡単なことも判っていたから、スケールモデルの経験値を上げるための次の段階としてよかろうということで着手した。部品が大きいぶん41号より作りやすかったくらいかもしれない。

 

【キットについて】

練習台41号には無かった左翼の端の突起(ピトー管)がこちらにはある。一方、箱絵にある両翼下の爆弾は実際のランナーには含まれていない。増槽があることや、操縦席が簡素であることなどは41号と同じ。

説明書の色指定は例によってGSIクレオスの色番号による。ただし、私はタミヤの水性アクリル塗料を使用した。

デカールは第252海軍航空隊 岩本徹三少尉搭乗機と第203海軍航空隊 谷水竹雄飛曹搭乗機の2種類。私は岩本機のほうを使用した。

ネットにあがっているレビューによると、実際の零戦とは形状やパネルラインが微妙に違っているらしい。私は特に気にせずキットの仕様に沿って制作した。

 

【練習課題】

練習課題は次の通り。

(1) スケールモデル制作について経験を積む。これは練習台41号と同じ。

(2) マスキングして塗装すると、マスクを剥がすときに塗膜の端がめくれて見苦しくなる問題への対策。主翼前方を黄色で塗装するときに、次の手順を試して、概ねうまくいった。

まず、マスキングテープでマスキングする。この状態でタミヤ水性アクリル塗料のレモンイエローを薄く筆塗りする。境界付近を薄っすらと塗れたらテープを剥がす。あとはフリーハンドで塗り重ねて仕上げる。

この手順を試した結果として、塗膜の端がめくれることは無かった。ただし、境界線が若干ガタついたような感じになった。この原因が前述の手順なのか、それともマスキングテープの切りかたや貼りかたなのかは判らない。

また、もう少し黄色を濃く塗れたら良かったという気もする。フリーハンドで塗り重ねを続けると筆を誤る危険がそれだけ大きくなるから、程々のところでやめてしまった。もっとも、スジ彫りが塗料で埋まらないようにするためにも塗り重ねすぎは禁物だから、なかなか悩ましい。

 

【その他】

胴体と主翼の合いがいま一つ。あちこち削ったり切ったりして組み合わせたが、それでも機体後尾のあたりに隙間が出来てしまったので、そこに接着剤を塗ったうえで水漏れ防止テープを巻いて固定して、強引に噛み合わせた。将来何かの拍子にパカッと開いたりして。

塗装については、練習台41号のときに作った色指定の対応表を流用して、タミヤの水性アクリル塗料を筆塗りした。

ただし機体下部の色は、練習台41号のときには手持ちの塗料を使って明緑灰色を調色したのに対し、今回は出来合いの塗料であるタミヤの明灰白色XF-12を使用した。この塗料はつや消し成分が強いのか、塗面がやけにザラザラになった。この塗面をニスで保護しないまま、エナメル塗料でスミ入れをして綿棒で拭き取ったら、うまく拭き取れなくて塗面がひどく汚れたような見栄えになったり、ところどころ剥げてプラスチックの地が見えたりという散々な結果になった。

仕方が無いから、せっかくスミ入れしたスジを塗りつぶさないように明灰白色を塗り直すことにした。面相筆での筆塗りと、百均のファンデーション用パフを使ったスポンジ塗装を併用した。それでも塗料がスジに流れ込んだり、また筆ムラが激しくなったりしたが、溶剤X-20Aを薄く含ませた筆で拭ったら相当に緩和した。

カウリングの内側はどうせ見えないだろうと思って適当に塗ったが、完成品を見たら塗り残したところが意外にプロペラの合間から覗いていた。やっぱりこういうのって手を抜くと裏切られるなぁ。

付属のデカールはほとんど説明書の指定の通りに貼ったが、プロペラ先端にだけはデカールを使わず、フリーハンドで塗り分けた。

さて、完成品を飾るときにちょうどいい大きさのケースがなかなか無い。百均では尺の足らないケースしか見当たらない。手持ちのケースで合いそうなものは数えるほどのみ。今後どうするか思案中。